したがって,受益者の被上告人に対す
る一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者は,取立権の行使として,被上告人
に対して解約実行請求の意思表示をすることができ,B社によって一部解約が実行
されて被上告人が一部解約金の交付を受けたときは,被上告人から上記一部解約金
支払請求権を取り立てることができるものと解するのが相当である。
(2) Dは,本件訴状の送達をもって被上告人に対して本件解約実行請求の意思
表示を行ったものであり,これは,差押債権者の取立権に基づくものとして,被上
告人に対してB社に対する本件解約実行請求の通知義務を生じさせるものというこ
とができる。
ところが,前記事実関係によれば,被上告人は本件解約実行請求があったことを
B社に通知しておらず,そのためB社も本件解約実行請求に基づく一部解約の実行
をしていないことがうかがわれる。
前記のとおり,B社は,解約実行請求があった
場合には,受益者に対し,一部解約を実行して一部解約金を支払う義務を負ってい
るが,被上告人が上記通知をしなければ,B社による一部解約の実行及び一部解約
金の被上告人への交付によって前記条件が成就することはなく,被上告人は上告人
らに対して一部解約金の支払義務を負わないことになるというべきであるから,被
上告人が上記通知をしないことについて民法130条所定の要件が充足されるので
あれば,同条により前記条件が成就したものとみなされ,被上告人は,上告人らに
対して本件解約実行請求に基づく一部解約金の支払義務を負う余地がある。
(3) 以上によれば,Aが被上告人に対して前記のような条件の付いた一部解約
金支払請求権を有することを認めず,上告人らが同請求権を差し押さえ,取立権の
行使として被上告人に対して解約実行請求の意思表示をすることも認められないか
のように判示し,これを前提に上告人らの民法130条に基づく主張を排斥した原
審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
論旨はこの
趣旨をいう限度において理由があり,原判決は破棄を免れない。
そして,同条に基
づく主張の当否等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこと
とする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。